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ハンドル角度とフロントアップ

マシンのハンドル角度というのは個人の好みだし、各人各様なので口幅ったい事は言えないのですが、ご容赦頂いて、私が行っているセッティングやその他の考え方をご紹介してみたいと思います。
随分昔、私がトライアルを始めた頃は、「フロントフォークのライン(方向)と、ハンドルの立ち上がり部分のラインを平行にする」か、もしくは「グリップ部分を地面と水平にする」というのがセオリーで、私もかなり長い間、後者の方法で取付調整していました。

しかし10年くらい前から次第に前側に倒すようになり、5~6年くらい前からは、ハンドルの立ち上がり部分が地面に対して垂直に取り付けるようになりました。
理由としては、結論から言えばフロントアップとリヤ振りがラクになるからです。
現在では、全日本を含めてコンペ会場などに行くと、垂直どころかそれより更に前側へ倒しこんだハンドルさえ珍しくありません。
スーパーAの野崎選手のハンドルなどは、ちょっと信じられないくらいに前に倒されています。

ハンドルを前側に倒すと何が変わるかというと、先ず見た目にグリップエンドが上方に上がってきます。
当然グリップの角度も上を向きますから、それに伴いグリップを掴むライダーの乗車姿勢が、突っ立った状態に変化してきます。
ハンドルを起こした(前に倒した)際の効果ですが、単純にフロントアップが楽に、より簡単になります。
何故かというと、ハンドルを引くための力点が支点からより高く(遠く)なりますので、テコの原理と同じで、より軽いチカラでフロント部分に対して作用できるようになります。
そして何よりも乗車姿勢が高くなるので、体重(質量)が支点から高く(遠く)なり、これがまたテコの原理で作用してきます。
乗車姿勢が高くなる事は、フロントアップだけでなく別の面からもメリットがあります。
ハンドル角度が寝ている(低い)ときに比べ、身体の上側への移動ストロークがより大きく使えるようになります。
これはステアを含めて、いろんな場面で有効な事が多いです。

ところでたまに「取っ手のついた荷物(マシンとハンドルの関係)を持ち上げる場合、高いテーブルの上からよりも、低い床から引き上げた方が力強く持ち上げられる。だからハンドルも下にある方(低い方)が、ステアでも引き上げやすいだろうし、ならばフロントアップも低いハンドルの方がしやすいのでは?」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
床やテーブルに置いた荷物は条件によってそうなのですが、でもフロントアップの場合では少し状況が変わってきます。
先ずは何よりも、引っ張る方向が荷物のように上方向ではなくて、後方(背中向き)というか、後ろやや斜め上方向なので、運動の方向がまったく違います。
床に置いた低い荷物を水平に手前に引くのと、テーブルの上に置いた荷物を水平に引くのとでは、後者の方がやはりラクですよね。
さて、床やテーブルに置いた荷物を引き上げる際の重量を支えるのは足の裏と床との接点です。
トライアルバイクで「フロントアップ」する時の全質量の支点は?というと、足裏のステップではなくて、実はリヤタイヤの接地点になります。ステップではなく、リヤタイヤの接地面が全ての重さを支えながらフロントを上げていくワケです。
「いいや、自分は明らかにステップを支えにして、目一杯ハンドルを引いている」と言われそうです。
では例えば、誰かにマシンを支えてもらって、マシン上でゆっくりと力一杯ハンドルを引っ張ってみます。
フロントはまったく浮いてこないですよね。例えば、筋力がプレス機械並にアップしたとして同じ事をしてみましょう。
でもハンドルがポッキリ折れるだけで、フロントは1ミリも浮かないだろうという事は充分想像できますよね。

では、何がフロントを浮かせるのに効果的か?というと、これも「リヤ振り」の時に書いたように、体重(質量)の位置移動(重量配分の変化)と、その速さにあるといえます。
重心位置の影響の例として、例えばマシンのリヤフェンダーに着くように全身を思いっきり低く、かつ後ろへ引いて腕も伸ばしきり、低速で走ってみて下さい。次に、指先ではじくようにアクセルを一気に全開にします。
この時、フロントアップのボディアクションはしない(ここまですると普通は出来ません)で下さい。
フロントアップのアクション無しに、指先だけでフロントが軽々と浮いてくるはずです。

これは重さが低く、かつ後側に集中し、前側の質量が減少した事によります。
たとえ話ばかりでホントに恐縮ですが、お箸の片方だけその端っこにゴルフボールくらいの粘土を丸めてくっ付けたモノを想像してみて下さい。粘土ボール側をテーブルにおいて粘土をコロコロ動かし、付いていない側の端っこを上側に持ち上げるのはカンタンですよね。
でも、粘土の付いていない側を指先に持ち、その反対側にある粘土の塊を上方向に持ちげるようにすると、指先にはかなりの重さを感じると思います。
フロントアップの効率も同じなんです。
体重は各人千差万別ですが、成人男性ならおおむね60~70キロ前後、小学3~4年生程度でも30キロ前後の体重(質量)があります。
これほどの体重(質量)がマシンの上で上下、左右、前後にと大きく動く事は、マシンに対して非常に影響力があります。
保安部品を外し、アフミマフラーやアルミスタンドで1~2キロ軽量化しただけでマシンの軽快感が驚くほど変わるのを実感した人も多いと思います。それが体重数十キロの物質?が、急激に前側から無くなり、かつ後側では押さえる役目にまわるのですから、フロントを上げるために加速中のマシンには、その効果はかなり大きなものとなります。
ところで、足が地面から離れてステップとハンドルだけを頼りにマシンと結ばれたライダーは、自分の筋力を、マシンを直接的に動かす事に使う事は不可能です。
できるのは、マシン上での身体の位置を、距離や速度をコントロールしながら変化させる事だけです。
では筋力アップしても意味はないのか?というと、そうではありません。
マシン上での筋力は、自身の身体の位置変化をさせる時の距離や速度、そしてマシンとの繋がり(祖密度)に大いに影響してきます。
だから当然筋力は強いほうが有利ですし、体重はできれば軽いほうが(但しこれは程度問題でしょうが)少ない筋力で動くことができるので一般には有利という事になります。

さて、ところでハンドルを起こせば良い事ばかりあるワケではありません。
というワケで、次回はデメリットについて紹介したいと思います。

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